研究プロフィール

  • 現職: 博士1年(2025年現在)
  • 博士課程時代の分野: 工学/生産工学/切削加工/レーザ加工/超精密加工
  • 博士課程時代の研究テーマ: レーザを援用した高能率刃先成形加工の高度化

博士課程の1日の研究スケジュール

時間帯内容補足・ポイント
6:00〜7:00起床/朝の準備早寝早起きをがんばりはじめました
7:00〜8:00朝活筋トレとかしてます 寝坊した時のバッファも含んでいます
8:00〜8:30研究室到着
スケジュール
実験/調査/資料作成など、その日によってやることは様々
8:30〜12:00論文読み/資料作成/論文執筆or昨日のデータ処理頭を使うことは午前中に! 切羽詰まっている時はこの時間から実験を回します
12:00〜16:00実験加工系の実験は機械につきっきりで行う場合が多いです
16:00〜18:00測定顕微鏡や形状測定器でデータを取得します
18:00〜20:00データ処理/考察Matlabを使ってデータ処理/解析をします 時間がない時は翌日に回します
20:00〜20:30考察/資料まとめミーティングのために適宜資料化しています
20:30帰宅忙しさによります、日付超えることももちろんあります

研究生活で使っているツール

  • 研究系ツール: Google Scholar, Zotero, Matlab, Julia, LaTeX, Affinity
  • 仕事系ツール: Google Gemini, Notion, Obsidian, Things, Visual Studio Code(Antigravityに移行中), Office系ツール

研究環境

  • 指導教員数: メインは1人、研究室全体では5人
  • 指導スタイル: 自ら相談のアポイントを取り、基本的には一対一で議論。1ヶ月半〜2ヶ月くらいの頻度で企業MT。
  • ラボ構成: 研究室: 教員5人程度、学生30人程度
  • コアタイム: なし
  • 研究室の長所: 資金、研究設備、教員が充実しているので、不自由なく研究ができる。
    教員の束縛がほぼないので、自由なスケジュールで研究できる。そのため色々な活動に手を出せる(出せてしまう)。研究方針についても、しっかり根拠を持って説明すれば自分のやりたい方向に進めることができる。
  • 研究室の短所: 成果が出ないと結構詰められ、修士の時は辛かった。
    学生同士のつながりが全体としては薄めで、“仲間と一緒に頑張るぞ”という感じはしない。割と個人主義。各テーマが独立気味であることも起因しているかも(学生同士で深い議論になりづらい)

プライベートとお金関連

  • 主な休日(研究室に行かない日)はどれぐらいある?: 週1あるかないか。研究室には行かずとも、インターン先に行っていたりする。
  • 休日は何をしている?: マーチング観戦が趣味?で、大会がある日には遠征する。 
  • 主な収入(学振/RA/TA/奨学金/バイト等)メイクニュースタンダード次世代研究事業(月18万) サブとして、名大発スタートアップにてインターン中
  • バイトとの両立は可能?: 自身の好きな時間に働けているので、可能。出張はしばしばあるものの、今の所問題ない。
  • その他: 奨学金はなし。学費免除をいただいた。
    メイクニュースタンダードは雑所得扱いになり、所得税/住民税/年金を払う必要があり、結構苦しい。大学で雇ってくれればよかったのに、と思います。
費用月額(円)
家賃+光熱費4万円
食費2万円
生活雑費2万円
学費0円
税金+保険など8万円
娯楽費1万円
その他1万円

博士進学を決めた理由

学部4年に博士課程への進学を志した際の理由です。

  1. 学部時代に切削工具メーカでインターンをしており、ものづくりに興味が出たため
  2. 研究開発周りで就職しようと思ったため
  3. 博士号を取り、就職時の収入をあげたかったため

修了後の進路

  • 自分の周りの博士学生の進路: 研究室の先輩(年が遠め)は教員になっている方が多い。年が近めの先輩/同期/後輩は民間企業就職や起業を目指している人ばかり。アカデミア就職もいるが、大学教員になっている方はいない。
  • 博士課程のスキルについてどう思う?: 民間企業の研究開発職においては博士号が必須になってくると思う。また、起業する際にも博士のスキルは活きてくるはず。
  • 博士課程で得た研究以外の力: 課題発見力、結果から仮説を導く力、実行力
  • 修了後の進路(希望): 民間企業就職 or 起業
  • 将来への楽しみ: 博士課程において、自分で世界を切り開くスキルが身についているはず。なので、何にでも挑戦できそう。
  • 将来への不安: 起業するとしたら、失敗が怖い。また、アカデミアはポストがないので、必然的に民間就職となる。そうなると、自分のやりたいことができなくなるのではないか、という不安。

これからの博士学生への率直なアドバイス

博士課程進学前に知っておくべきこと
研究室を訪問し、先生の雰囲気や学生の仲の良さを知っておく、というのが大事であることは前提として、研究室の実績作成の方針についても知っておく必要があります。というのは、先生によって論文投稿/学会発表のスタンスが異なるからです。
1. ちゃんとした論文になる成果が出るまで世の中に出さない
2. ちょっと微妙な成果でも、学生を学会発表に出させる
どちらの先生の例も知ってまして、1. は特許/論文内容のインパクト性/他者に出し抜かれてしまうこと、を気にしており、2. は学生の成長のため/自身の実績作成のために対外発表を頑張っている傾向にあります。どちらのスタンスでも、きちんと成果が出れば問題なく発表できますが、博士号取得のためには2. のスタンスの方がいいとは思います。(私は前者だったかつ成果がでなかったので、学部〜修士の間は苦しみました)
最近、民間企業は(工学系)博士課程取得者を欲しがっている、という世論になりつつあります。ですが、この事実はメーカに就職しても自由に研究ができる、ということを保証しません。外資系メーカで長期インターンをしたことがありますが、博士号取得者だとしても研究をしているわけではなく、製品開発を担当していた事例があります(本人の意向はここでは考えません)。研究を自由にやれるキャリアか、博士号という“資格”をもって企業で働くキャリアか、ちゃんと考えておく必要があります。私は考えずに進学しましたが。。。
学部4年の研究を一通りやってから、博士進学を考えるのがいいと思います。なんなら修士1年〜2年の頭まで引っ張ってもいいです。研究プロセスだけでなく、テーマ自体が自分に合うかどうかなんて、配属当初ではわからないからです。
ただ、早めに博士課程進学の宣言をしておけば、早期に国際会議や論文投稿など実績作成をサポートしてくれる先生が多いのではないかと思います。

覚悟しておくべきこと
研究は成果が出るかどうかわからない、ということです。私はなんちゃらバイアスがかかっていたのか、そのうち成果がでるだろう、と慢心しながら実験をしていました。成果に結びつかない事例で厄介なのが、そもそも仮説が悪い、ということです。研究手法が悪ければ直せばいいですが(というか大半はあまりよくないので、研究しながらどんどん変えていきます)、仮説が悪いといくら研究しても成果が出ませんし、その原因が仮説段階にあるということを指摘しづらいです。研究仮説は、工学系においては先生や企業が持ってくるものなので、なかなか棄却しづらいのです。配属時のテーマ選定では、我々に知識なんかないので、いわゆる“悪いテーマ”を避けられない可能性があります。
私は、博士進学の少し前に別テーマを始めさせてもらいました。そのテーマは結構いい感じなので、色々含めて運が大きな要素になります。

最後に一言
上記には結構マイナスなことを述べましたが、総括して博士課程に進学して良かったと、今は思っています。修士課程では色々苦しみましたが、それらをクリアした今は人間的に強くなれたと思います(よくドロップアウトしなかったなとも思います)。皆さん全員にここまで苦しんで欲しいとは思いませんが、学部修士ふくめ研究室は色々課題を解決していくうちに成長できる環境にあると思います。それを極められるのが博士課程かなと思います。博士号という重みは、専門家の卵であるという意味以上に、博士号取得までの様々な関門をクリアした“優秀な人間”の称号である、という意味が強いのかな、なんて思います。