研究者プロフィール

  • 現職: 広島大学大学院人間社会科学研究科ソーシャルデータサイエンスプログラム 特任助教(2025年現在)
  • 博士課程時代の分野: 人間発達学、計算社会学、公衆衛生学、データサイエンス
  • 博士課程時代の研究テーマ: 古典的理論融合とそれを用いた人工知能の開発および臨床試験

博士課程の1日の研究スケジュール

時間帯内容補足・ポイント
8:30〜17:00出勤
日常業務
医学部の基礎研究室に所属し、研究員として勤務。
17:00〜18:00職場から大学院へ千葉から東京まで総武線に揺られる。移動の間に夕食を済ませる。
18:00〜21:00講義やゼミ修士生に交じって単位を取得していく。
21:00〜22:00帰宅中移動の間に仮眠。身体が悲鳴をあげる。
22:00〜 0:00自分の研究作業論文の修正とデータ解析、講義の課題等
0:00〜1:00就寝平日はこんな感じで時間が溶ける。 ※休日は、朝から自分の研究に没頭。

研究生活で使っているツール

  • 研究系ツール: PubMed, Web of Science, Scopus, R / Python(pandas, scikit-learn など), SPSS
  • 仕事系ツール: ChatGPT, Notion, Slack / Teams, Google Drive, Overleaf, DeepL, Canva

博士課程時の研究環境

  • 指導教員数: 1人
  • 指導スタイル: 毎月ミーティングがあり、研究の進捗を報告する。
  • ラボ構成: 研究室: 教員3人程度、学生10人程度 
  • 研究室の長所: 主として、公衆衛生の分野に位置するが、学生の研究内容は多岐にわたる。文理融合科学の側面が強い。
  • 研究室の短所: 学生の自己管理能力に依存することが多く、これができないと詰む。

博士課程時のプライベートとお金関連

  • 主な休日(研究室に行かない日)はどれぐらいある?: 土日、祝日はほとんど行かない。
  • 休日は何をしている?: 自宅で自分の研究に没頭する。
  • 主な収入(学振/RA/TA/奨学金/バイト等): 研究員としての給与。
  • バイトとの両立は可能?: 常勤で働いていたため当てはまらない。
費用月額(円)
家賃+光熱費80000
食費20000
生活雑費10000
学費学期ごとに一括振込
税金+保険など給与天引き
娯楽費+α

博士課程進学を決めた理由

  1. おそらく、知的好奇心が旺盛であったため。

博士課程修了時について

  • 自分の周りの博士学生の進路: 社会人ばかりなので、もともと所属していた企業やアカデミアに在籍する人が大半であった。
  • 博士課程のスキルについてどう思う?: アカデミアでは、博士がないと門前払いのケースが多いと思われる。民間企業においても、それなりの役職者は博士課程修了者が多いイメージ。
  • 博士課程で得た研究以外の力: 自己管理!!これに尽きる。
  • 博士課程修了時の業績について: 修了規定通りの査読論文2編と学会発表1回程度
  • 挑戦すべき助成金: 穴場だと思うのが、所属している大学独自の助成金

現在の研究生活について

  • アカデミアに残ると決めた理由: せっかく、博士課程まで進んだので行けるところまで行こうと思っています。
  • 博士課程修了後の進路の決め方: もともと所属していた研究室からの紹介が多い
  • アカデミアに残ってよかったこと: アカデミアの仕事は多岐にわたります。研究だけではなく、総合的な人間力みたいなものが試されるし、成長を感じられると思っています。
  • アカデミアに残って難しさを感じたこと: 一般的な企業とは全く別です。同一視しない方が良い。これはこれ、それはそれ。

これからの博士学生への率直なアドバイス

博士課程進学前に知っておくべきこと
研究テーマだけでなく、「一緒にやる人」「ラボの空気」が日常の満足度を大きく左右する。
お金・ポスト・生活拠点など、「研究以外の条件」も含めて、自分がどこまで許容できるかを一度紙に書き出してみてほしい。
データや理論が好きなだけでなく、「わからないことと長く付き合う」ことを、ある程度楽しめるタイプかどうかも大事だと思う。

覚悟しておくべきこと
同世代の友人たちと比べると、「収入」「キャリアの見通し」で不安になる瞬間はどうしても出てくる。
研究は、努力と成果が必ずしも比例しない世界であり、「うまくいかない時間」にどう向き合うかが問われる。それでも続けたいと思える問いを、自分の中に持てるかどうかが、後半戦の支えになる。

最後に一言
博士課程に進むことは、人生の正解ルートでも、不正解ルートでもないと思っています。
ただ、「自分は何にモヤモヤしていて、どんな問いに一生かけてもいいと思えるのか」を徹底的に考えるきっかけにはなります。
もしあなたがその問いに少しでもワクワクを感じるなら、博士課程はきっと、辛さと同じくらいの喜びや出会いを運んでくれると思います。
そして、そのプロセスは、たとえアカデミアに残らなかったとしても、あなたの糧として残り続けるはずです。